会計の基本 — 損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー
不動産投資をやると確定申告で会計用語と否応なく付き合うことになります。専門家じゃない人向けに、家計簿レベルから一つずつほぐして解説します。
最終更新: 2026年6月
- 会計 =「儲けの記録(P/L)」と「財産の記録(B/S)」と「お金の流れ(C/F)」の3点セット
- 「利益」と「手元キャッシュ」は別物。減価償却と元本返済が理由で差が生まれる
- 家計簿を「ちゃんとした形式」で書いたものが会計、と思えば怖くない
会計用語は難解に見えますが、実は「家計簿を分解して整理しただけ」です。「給料」「家賃」「食費」「貯金残高」「ローン残高」など、誰もが日常で扱う概念に対応します。
会計って何のためにあるの?
会計の目的は3つ。
- 今期どれだけ儲かったか(または損したか)を計算する
- 今、財産がいくらあるかを一覧する
- 現金が実際にいくら入って出ていったかを追跡する
この3つに対応するのが、それぞれ「損益計算書(P/L)」「貸借対照表(B/S)」「キャッシュフロー計算書(C/F)」です。会計界の「**三大書類**」。
① 損益計算書(P/L)— 1年間の儲けを書いた紙
P/L は 「今年いくら儲かった?」を1枚に整理したものです。家計簿で言えば「今年の家計の収支まとめ」。
給料 600万 − 食費・光熱費・家賃等 450万 = 残った 150万
これを不動産投資に当てはめると:
家賃収入 156万 − 管理料・固定資産税・保険・修繕等 50万 − 利息 40万 − 減価償却 60万 = 利益 6万円
P/L で計算される「利益」は税務上の利益。実際に手元に残ったお金とは別物です(後述)。
② 貸借対照表(B/S)— 今の財産の一覧表
B/S は 「今、何をどれだけ持ってる?借金はいくら?」を1枚に整理したものです。
【持ってるもの】 預金 200万 + マイホーム時価 3,000万 = 計 3,200万
【借りてるもの】 住宅ローン 2,500万 = 計 2,500万
【自分の取り分(純資産)】 3,200 − 2,500 = 700万
不動産投資でも同じ:
【資産】 物件価格 3,000万 + 現金 100万 = 3,100万
【負債】 投資用ローン 2,700万
【純資産】 3,100 − 2,700 = 400万
青色申告の 65万円控除 を受けるには、この B/S を確定申告に添付する必要があります(だから複式簿記が必須)。
③ キャッシュフロー計算書(C/F)— 現金の出入り
P/L で出した「利益」と、実際に増えた現金は一致しません。これを橋渡しするのが C/F。家計簿の「今月いくら口座から減った/増えた」記録に対応します。
① 減価償却: 紙の上の経費(現金は出ない)→ 利益は減るがキャッシュは減らない
② ローン元本返済: 現金は出ていくが経費にならない → キャッシュは減るが利益は変わらない
この2つが デッドクロス の正体です。
P/L と C/F の違いを具体例で
家賃年156万・経費50万・利息40万・元本返済60万・減価償却60万、というケースを見てみます。
156 − 50 − 40 − 60(減価償却)= 6万円の黒字
→ 税金は 6万 × 税率
C/F(実際の手取り):
156 − 50 − 40(利息)− 60(元本返済)= 6万円の手取り
(減価償却は現金が出ないので無視、元本は現金が出るので引く)
→ ここから税金を引いた残りが本当の手取り
不動産で使う主要な勘定科目
勘定科目 = お金の分類タグ。確定申告の決算書で使うのは主に以下:
- 収入: 賃貸料、礼金、更新料、共益費
- 経費(営業費用): 管理委託料、固定資産税、損害保険料、修繕費
- 経費(金融費用): 借入金利子(元本は経費にならない)
- 経費(非現金): 減価償却費
- 特別控除: 青色申告特別控除(個人のみ)
全項目は 用語集 にあります。
複式簿記 vs 単式簿記
複式簿記: 1取引を「借方/貸方」の2側面で記録する。B/S が自動で組み上がる
青色65万控除を取るには複式簿記が必須。とはいえ、freee や マネーフォワード などの会計ソフトを使えば、家計簿感覚で入力するだけで複式簿記の処理は自動です。手で仕訳を書く必要はありません。
まとめ:会計の本質
会計は「**お金の流れと残高を、3つの視点(儲け/財産/現金)で整理する**」ためのフォーマットです。難しく見えますが、家計簿の延長と捉えれば怖くありません。
不動産投資では特に、「利益(P/L)と手取り現金(C/F)の乖離」がトラブルの種になります。本サイトのシミュレーターは両者を分けて表示するので、年次明細で見比べてみてください。