デッドクロス — 減価償却終了後に税負担が急増する局面
「黒字経営なのに手元キャッシュが減っていく」奇妙な現象。減価償却費の終了と、ローン元本返済の構造から起きる、不動産投資で最も重要なリスクです。
最終更新: 2026年6月
3行サマリ
- 減価償却が終わると経費が消えて、税金だけ増える
- 元本返済はキャッシュが減るのに経費にならない(二重苦)
- 対策は繰上返済・借換え・売却・法人化・新物件購入の5択
👶 はじめての方へ
「黒字なのに口座残高が減る」一見矛盾した状態がデッドクロス。減価償却=紙の上の経費 と、元本返済=現金は出ていくのに経費にならない、この2つが組み合わさるとお金の流れと税務上の損益がズレるためです。
なぜ起きるのか
2つの要因が重なって起きます。
- 減価償却費の終了: 建物の耐用年数が経過すると経費がゼロになる → 課税所得が一気に増える → 税金が増える
- ローン元本返済の増加: 元利均等返済では返済額は一定でも、後半は利息が減り元本部分が増える。元本返済は経費にならないので、手元キャッシュは減るのに課税所得は減らない
結果として「元本返済額 > 減価償却費」となった瞬間以降、 税後CFがマイナスに転落する年が来ます。これがデッドクロスです。
数式で見る
税後CF = (家賃 − 経費 − 利息 − 元本) − (家賃 − 経費 − 利息 − 減価償却) × 税率
減価償却 > 元本返済 のうちは、税金が小さく抑えられて税後CFは黒字。
減価償却 < 元本返済 になると、税金は増え続け、ある時点で税後CFがマイナス転落。
特に 築古木造 や 耐用年数を超えた中古物件 は減価償却期間が短い(簡便法で 法定耐用年数×20%)ため、5年程度で減価償却が終わってデッドクロスが早く来ます。
兆候を見抜く
Estate Life のシミュレーターは以下の年を自動検出します。
- 減価償却終了年: 償却がゼロに切り替わる年(アラート表示)
- デッドクロス年: 税後CFが初めてマイナスに転落する年(赤枠アラート表示)
回避・緩和の戦略
- 繰上返済 で元本残債を減らす → 残利息が減って税負担も和らぐ
- 借換え で金利を下げる、または期間を延ばす → 月額キャッシュフロー改善
- デッドクロス前に売却 → 5年超保有なら譲渡所得税は長期20.315%
- 新規物件購入 で新たな減価償却費を発生させる(複数物件戦略)
- 法人化 → 役員報酬で利益を圧縮、欠損金繰越10年で吸収余地が増える
そもそも避けられるのか
完全に避けることは難しく、不動産投資をしている限り「いつか必ず来る」のがデッドクロス。重要なのは、来る時期を正確に把握し、その前に出口戦略を準備すること。
物件購入前にシミュレーターで「何年目にデッドクロスが来るか」「そのときに売却できる価格はいくらか」を試算しておくと、購入判断がブレません。
自分の物件のデッドクロス年を確認するには シミュレーター で物件情報を入力し、サマリ右上の警告カードを見てください。「最適売却年」ボタンも参考になります。