減価償却と中古資産の耐用年数
減価償却は「現金が出ていかないのに課税所得は減らせる」、不動産投資の節税で最も重要な仕組みです。構造別の耐用年数、中古資産の簡便法、建物割合の決め方を整理します。
最終更新: 2026年6月
- 減価償却 = 建物価額 ÷ 耐用年数。キャッシュは出ないが課税所得を圧縮
- 中古は法定耐用年数を「簡便法」で短縮できる。築古ほど短期償却
- 短期償却は節税効果大だが、終わるとデッドクロスが来るので出口を準備
「家を3,000万で買うと、年間525万円が経費になる」と聞くと驚きですが、本当の話。減価償却は不動産投資が「節税になる」と言われる最大の理由です。ただし無限に続くわけではなく、決まった年数で終わります。
そもそも減価償却ってなに?(やさしい解説)
高価で長持ちするモノを買ったとき、その費用を 「使う年数で割って」毎年少しずつ経費にしていく 仕組みです。
冷蔵庫を15万円で買いました。これを「今年だけ15万円の支出」とすると、来年からは0円扱いになって不公平。実態は5-10年使うので、1年あたり1.5-3万円ずつ「使った分」を計上する方が実態に近いですよね。これが減価償却の発想。
建物も同じです。47年使うRCマンションなら、購入額を47年で割って毎年少しずつ経費化する。「お金は今年全部出したのに、経費は来年以降にも持ち越せる」のがミソ。
キャッシュは初年度に全部出るのに、経費としては数十年に分散される。これが「現金は減ったのに利益は減らない」「現金は変わらないのに利益が減る」という会計のねじれを生み出します。
法定耐用年数(建物・住宅用)
住宅用建物の法定耐用年数は構造別に定められています。
建物価額 ÷ 耐用年数 が毎年の減価償却費(定額法・住宅用建物は定額法が必須)。
中古資産の簡便法
中古物件を買った場合は、残存耐用年数を以下で計算できます。
残存耐用年数 = 法定耐用年数 × 20%
築年数が法定耐用年数の一部を経過している場合:
残存耐用年数 = (法定耐用年数 − 経過年数) + 経過年数 × 20%
例: 築30年の木造(法定22年) → 既に超過 → 22 × 20% = 4年
例: 築15年のRC(法定47年) → (47 − 15) + 15 × 20% = 35年
なぜ木造アパートが節税に強い?
耐用年数が短い = 1年あたりの減価償却費が大きい = 課税所得を大きく圧縮できる、ということです。
→ 建物価額 2,100万円 ÷ 4年(22×20%)= 年 525万円 の減価償却
ただし耐用年数が短い = 償却期間も短いため、4年で償却が終わったあとは経費がガクッと減って税負担が急増します(これがデッドクロス)。
建物割合の決め方
建物割合は物件価格のうち減価償却の対象となる「建物」部分の比率です。土地は減価しないため償却対象外。
- 売買契約書に内訳記載がある場合: その金額を使う(最強の根拠)
- 固定資産税評価額の比率: 土地と建物の評価額比率で按分
- 路線価・公示地価による按分: 土地評価額から逆算
- 消費税額から逆算: 売主が課税業者なら消費税は建物価格×10%
📘 具体例:3パターンを計算してみる
建物価額 2,000万円(物件価格3,000万・建物割合67%)の場合の、構造別の年間減価償却:
2,000万 ÷ 47年 = 年 42.6万円 × 47年
② 築15年 RC(残存32年+既経過15年×20% = 35年)
2,000万 ÷ 35年 = 年 57.1万円 × 35年
③ 築23年 木造(耐用22年超過 → 22年×20%=4年)
2,000万 ÷ 4年 = 年 500万円 × 4年
減価償却終了後
耐用年数が経過すると減価償却費は 0 になります。すると同じ家賃でも課税所得が一気に増えます。Estate Life ではサマリ画面に「減価償却終了」アラートを表示します。