不動産投資のキャッシュフロー:NOI・税前CF・税後CF
家賃収入から税後CFまでの計算式を、Estate Life のシミュレーションロジックに沿って順を追って整理します。「税金がマイナスになって還付が出るはず」「自己資金は経費?」などの典型的な勘違いも明らかにします。
最終更新: 2026年6月
- 家賃 → 経費 → NOI → ローン → 税前CF → 税金 → 税後CF の順で計算
- 減価償却・諸費用経費化は税金にだけ効く(キャッシュには影響しない)
- 累計CFは自己資金支出(年0)から始まり、回収完了で初めてプラスに
「家賃 100万 入ったら 100万 まるごと残る」のは間違い。実際は管理料・税金・修繕積立・ローン返済・所得税で大半が消えます。本記事はその「消える順番」を可視化します。
ステップ1: 実効家賃
年経過に伴う家賃下落と空室を反映した、実際に入ってくる年間家賃です。
ステップ2: 営業経費
管理委託料・修繕積立・固定資産税・保険・大規模修繕・修繕履歴・設備交換などの実キャッシュ支出。経費はインフレ率で年々増加させます。
物件取得時の諸費用(仲介手数料・登録免許税・不動産取得税等)は購入時に既に現金で支払い済みなので、Estate Life ではキャッシュフロー計算から除外しています(自己資金支出として年0に反映)。一部を初年度の税務上の経費として課税所得から控除しますが、キャッシュには二重計上しません。
ステップ3: NOI(純営業収益)
ローン返済・税金・減価償却を含まない、物件単体の「営業利益」相当です。物件の収益性を比較するときに最も基本的な指標。
ステップ4: 税前キャッシュフロー
実際に手元に残る現金(税引前)。ローン返済は元本部分も実キャッシュ流出なので、ここで全額引きます。
ステップ5: 課税所得(税引前利益)
- 元本返済 は経費にならない(だから手元キャッシュが減るのに税負担が増えるデッドクロスが起きる)
- 減価償却 はキャッシュアウトはない「みかけの経費」だが、課税所得は減らせる
- 青色申告特別控除 は個人のみ(10/55/65万円)。法人は適用なし
ステップ6: 税金
Estate Life は損失年の税金を 0 にクリップする保守的な計算です(給与所得との損益通算で還付になるケースもあるが、確実なキャッシュインではないため)。さらに過年度の赤字を繰越控除(個人3年・法人10年)して当年の課税所得を圧縮します。
ステップ7: 税後キャッシュフロー
ステップ8: 累計CF(自己資金支出を含む)
購入時の自己資金支出をマイナスとして起点にします。累計CFが0を超えた年が「自己資金回収年」。これを超えると、この投資は「最低限のリスクは回収した」と言えます。
📘 具体例:3,000万のワンルームの1年目
実数値で1年目をたどってみます。前提:
月家賃 13万・空室率10%・経費年20万・所得税率30%・青色65万控除
各ステップを順に当てはめると:
② 営業経費(管理料・固定資産税・保険等) = 20万
③ NOI = 140.4 − 20 = 120.4万
④ ローン年返済 ≒ 120万(うち利息 53万、元本 67万)
⑤ 税前CF = 120.4 − 120 = 0.4万
減価償却 = 3,000万×70% ÷ 47年 ≒ 44.7万
諸費用経費化(60%) = 240万×60% = 144万(初年度のみ)
⑥ 課税所得 = 120.4 − 53 − 44.7 − 65 − 144 = −186.3万
⑦ 税金 = max(0, −186.3万 × 40%) = 0円(保守的計算)
⑧ 税後CF = 0.4 − 0 = 0.4万
⑨ 累計CF(1年目末) = −自己資金540万 + 0.4万 = −539.6万
「初年度なのに手取り0.4万円って少なすぎでは?」と感じるかもしれませんが、これが現実です。むしろ年1年目は諸費用144万円を税務上の経費にできるので、給与所得との損益通算で給与所得側の税金が大きく還付されるのがサラリーマン投資の節税効果。
このまま累計CFがプラスに転じるのは何年目か、デッドクロスは何年目に来るか、を試したいときは シミュレーター のテンプレ「都内ワンルーム」を読み込んで条件を変えてみてください。