不動産投資の法人化 — タイミングとメリット・デメリット
個人で買うか法人で買うか。投資規模が大きくなると法人化が有利になります。判断基準と、実際の設立コストを上回るメリット条件を整理します。
最終更新: 2026年6月
3行サマリ
- 目安: 年間の不動産所得が800万円超で法人化検討の入口
- 個人(累進55%) vs 法人(実効25-35%) で法人有利。欠損金繰越も10年に
- 設立コスト10-30万円・年間維持費 数十万円 → 規模次第で十分回収可能
法人化のメリット
- 税率が頭打ちになる: 個人は所得900万円超で33%、4,000万円超で45%(住民税10%別)。法人は中小企業特例で15-23.2%+住民税・事業税で実効25-35%
- 欠損金繰越が10年: 個人(青色)3年 vs 法人(青色)10年。デッドクロス対策に強い
- 役員報酬を経費にできる: 自分・家族に報酬を払って所得分散
- 生命保険を経費化できる: 個人より節税余地が大きい
- 退職金が使える: 解散時に退職金として受け取れば優遇税率
- 相続対策: 株式評価で渡せる、贈与しやすい
- 融資交渉力UP: プロパー融資が引きやすい
法人化のデメリット
- 設立コスト: 合同会社で10万円、株式会社で25万円程度
- 年間維持費: 法人住民税均等割7万円〜+税理士報酬15-30万円
- 赤字でも税金: 法人住民税の均等割は赤字でも発生
- 経理・申告が複雑: 個人事業より格段に手間
- 役員報酬は途中変更できない: 期首3ヶ月以内に決定
- 個人→法人移管時の譲渡所得税: 物件を法人に売却扱い
法人化のタイミング判断
以下の条件で複数当てはまるなら検討を:
- 不動産所得(給与所得との合算後)が800万円超
- 給与の限界税率が33%以上
- 物件3戸以上保有 or 一棟保有
- 規模拡大の意思がある(複数棟・複数物件)
- 家族に役員報酬を払える
- 相続対策を意識している
1棟目から法人で買う「最初から法人」も選択肢。後から個人→法人移管は譲渡所得税がかかるので、規模拡大が見えているなら最初から法人の方が長期的に有利。
合同会社 vs 株式会社
合同会社: 設立コスト約10万円、決算公告不要、運営シンプル。資産管理法人なら合同会社で十分
株式会社: 設立コスト約25万円、決算公告必要、社会的信用度高。外部出資を受ける予定があるなら
株式会社: 設立コスト約25万円、決算公告必要、社会的信用度高。外部出資を受ける予定があるなら
不動産投資の資産管理法人では 合同会社が圧倒的に多いです。
法人化の進め方
- 税理士に個人 vs 法人のシミュレーションを依頼
- 合同会社(or 株式会社)の設立 — 司法書士に依頼すれば1ヶ月
- 法人口座開設 — 都市銀行は厳しい、ネット銀行は通りやすい
- 事業年度・役員報酬を決定(期首3ヶ月以内)
- 物件購入 or 個人物件の法人移管
- 青色申告承認申請(設立3ヶ月以内)
- 会計ソフト導入 or 税理士契約