青色申告と赤字繰越(個人3年・法人10年)
青色申告は不動産投資の節税基盤。特別控除(10/55/65万円)に目が行きがちですが、本当に重要なのは赤字を翌年以降に繰越して将来の黒字と相殺できる繰越控除です。個人と法人で繰越年数が大きく違います。
最終更新: 2026年6月
3行サマリ
- 青色申告は事前申請が必須(個人は3月15日まで)
- 個人は特別控除10/55/65万+赤字繰越3年。法人は欠損金繰越10年
- 赤字繰越の差7年は法人化検討の大きな根拠になる
👶 はじめての方へ
「青色申告」は税務署に事前申請するだけで使える節税ツールセット。特に重要なのが赤字繰越で、新築や築古高速償却で出した大きな赤字を、翌年以降の黒字に充当できます。期限を逃すと白色申告になり、繰越が一切使えなくなります。
青色申告のメリット(個人)
- 青色申告特別控除: 10万円 / 55万円 / 65万円(条件により)
- 純損失の繰越控除 3年: 不動産所得が赤字の年の損失を翌年以降3年間繰り越して、将来の黒字と相殺できる
- 専従者給与の経費算入
- 30万円未満の少額減価償却資産の即時償却
- 貸倒引当金の計上
特別控除の金額条件
65万円控除: 複式簿記 + 貸借対照表添付 + e-Tax または電子帳簿保存
55万円控除: 複式簿記 + 貸借対照表添付(紙申告)
10万円控除: 上記の要件を満たさない簡易簿記
55万円控除: 複式簿記 + 貸借対照表添付(紙申告)
10万円控除: 上記の要件を満たさない簡易簿記
不動産所得の場合、事業的規模(5棟10室基準) を満たさないと55/65万控除は適用不可。それ以下の規模は10万円控除のみ。
青色申告のメリット(法人)
- 欠損金の繰越控除 10年: 法人税法における欠損金を10年間繰り越して将来の課税所得と相殺
- 30万円未満の少額減価償却資産の即時償却(中小企業特例)
- 欠損金の繰戻還付(資本金1億円以下の中小法人)
法人には個人の「青色申告特別控除」のような定額の控除はありません。法人で青色申告するメリットは主に 欠損金の10年繰越 です。
個人 vs 法人 繰越年数の差
個人(青色): 3年
法人(青色): 10年
白色: 0年(個人/法人問わず繰越不可)
法人(青色): 10年
白色: 0年(個人/法人問わず繰越不可)
7年差は大きく、減価償却終了後(デッドクロス)の税負担急増に備えて法人化を検討する一つの根拠になります。例えば築古木造を高速償却して4-5年で赤字を積み上げると、個人だと3年で繰越期限が切れて使い切れない可能性がある一方、法人なら10年使えて全額活かせます。
繰越控除の使われ方(FIFO)
赤字は古いものから順に消費されます。Estate Life のシミュレーターでは、当年が黒字の場合に古い繰越から順に充当し、年次明細表の「繰越控除」列で実際に使われた金額を表示します。
例: 年1=−100万円、年2=−50万円、年3=+200万円(個人・青色 3年繰越)
→ 年3 の黒字 200万円から、まず年1の繰越100万を充当、次に年2の繰越50万を充当
→ 残り50万円が課税所得となって税金がかかる
→ 年3 の黒字 200万円から、まず年1の繰越100万を充当、次に年2の繰越50万を充当
→ 残り50万円が課税所得となって税金がかかる
青色申告するには
- 個人: 開業から2ヶ月以内 or 適用年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出
- 法人: 設立から3ヶ月以内 or 事業年度開始日の前日までに同申請書を提出
一度承認されれば翌年以降も継続。期限を逃すと白色申告になり、その年の繰越控除が使えなくなります。
個人/法人を切り替えて繰越控除の効果を比較するには シミュレーター の税金セクションで「申告主体」を切り替えてください。年次明細表の「繰越控除」列で使用額が確認できます。